前回はアフタヌーンティーの歴史について紹介しました。
素晴らしい紅茶やお茶菓子を楽しむため、ぜひアフタヌーンティーへいってみましょう。
その際「作法」や「マナー」について、あまりにも未知の状態だと気掛かりになるかも知れません。
今回は茶会の作法について簡単に紹介させていただきます。
アフタヌーンティーでマナーを守る意味
アフタヌーンティーは、沢山のやってはいけないことにがんじがらめのマナー教室のようなところ。
そんなイメージを持っている方も多いようです。
しかし茶会におけるマナー(作法)は、あくまで「他者に不快な思いをさせないこと」を目的としたもの。
昔は作法の良し悪しで育ちや家柄をはかりあう様なこともあったようですが、その価値観を現代に持ち込むのはまったくナンセンスな話です。
礼儀作法で「場に査定されている」ような気持ちがあるならば、まず一番に捨てましょう。
最低限必要な心構えを身につけるに留め、楽しむ気持ちを大切にしてください。
茶会に参加するのに一番大切なことは、その場にいる他者と共にゆったりとした時間とお茶を楽しむことです。
自分にも他人にも、減点方式でマナーの悪さを採点するような迷惑な人にはならないように。
逆に洗練された作法の美しい人を見たら、思う存分に憧れて褒め称えるもよし。
そこから会話に花を咲かせるのもよいでしょう。
アフタヌーンティーに来たら(準備)
テーブルに用意されているもの
・ナプキン
・ナイフ、フォーク、スプーン
・ストレーナー
・ティーポット
・ホットウォータージャグ
・ティーカップ&ソーサー
・ティースプーン
・2段または3段スタンド
・皿
・砂糖、ミルク
ナプキンの使い方
ナプキンは膝の上に乗せます。
全部広げるのではなく半分に折って、輪にした方を手前にして置く。
使う時は、内側の見えない面で拭く。
ゴシゴシと口を擦ったりはせず、軽く当てて拭うようにします。
お手洗いなどで中座する際には、椅子の背もたれにかけるのではなく座面に置きます。
食事が終わったら、テーブルの上に自然に置きます。
丁寧にたたんで置くと、“食事に満足しなかった”という意味になるのでやめましょう。
紅茶のいただき方
紅茶を注ぐ
ティーポットから紅茶を注ぐ、という行為は基本的に店のスタッフや主催者側のホストが行います。
この際、渡すのはカップだけでなくカップとソーサーの両方を手渡すこと。
ミルクやシュガーを入れる
紅茶にミルクや砂糖を加えるかどうか。
これは基本的に飲む人の自由です。
ただお店では気にしなくても大丈夫ですが、家に招かれての茶会の場合。
注いでもらった1杯目の紅茶を、最初からミルクと砂糖を入れられては、紅茶を用意した人が残念な気持ちになってしまう事もあると思います。1杯目の数口はストレートのまま味見をすることにしておきましょう。
入れる場合は先にミルクを入れて、スプーンで混ぜ、お湯の流れがあるうちに砂糖を入れます。
混ぜる際にはスプーンを回すのでなく、前後に動かします。
このとき「カチャカチャ」と音を立てないように気をつけましょう。
紅茶を飲む
・カップ&ソーサーの使い方
テーブルが膝程度の高さのローテーブルの場合、ソーサーを左手でもちカップを右手で持って紅茶を飲みます。
テーブルからティーカップを遠く離す際に、液だれを受けるため。
テーブルがローテーブルでない場合は、ティーカップのみを右手で持って紅茶を飲みます。
・ティーカップの持ち方
“Holding the teacup”
ティーカップの取っ手に指を通して持つのは下品な行為とされている。
親指・人差し指・中指の3本を使って、つまむように持つ。
…と、されていた時代がありましたが昔の話です。
現在では、①人差し指は取っ手に通す ②中指で取っ手の下を支える ③親指を取っ手の外側に添える
という安定した持ち方が主流のよう。
また両手を使ってティーカップを持つのは、“茶が冷めています”と主張する意味になるのでやめておきましょう。
カップの詳細が気になっても、底面をのぞき込んだりしないように。
・ホットウォータージャグの使い方
紅茶が濃くなってしまったときにお湯で薄めるために使います。
ティーポットに直接そそぐのではなく、ティーカップに入れた紅茶にお湯を足して薄めること。
ティーフードのいただき方
3段スタンドに乗ったティーフードをいただきます。
スタンドのお皿を外そうとしてしまう方もいるようですが、一段に複数人の分がまとめて乗っています。
自分のお皿に取り分けて食べましょう。
順番は、基本的に下の段から食べていきます。
「下段のサンドウィッチ→中段のスコーン→上段のペストリー・ケーキ」
同じ段のなかで食べる順番に迷ったら、色の薄いもの→濃いものの順に取りましょう。
ただし、ホテル等によっては「下段に温かいもの・上段にケーキを置くと温まってしまう」という気づかいから、この置き方ではない場合もあります。
先に食事→最後にデザート、の順に食べればOKです。
サンドウィッチを食べる
基本的に手で持って食べます。
一口で食べられない大きさの場合、フォークで抑えてナイフで切ってから手で食べます。
このとき、フォークは上の段・具材・下の段までしっかり刺して押さえます。
作業をしながら片手で食べられるように、と考案されたサンドウィッチは、特に「上品な食べ方」というものがありません。
ただし、具材とパンを別々に分けて食べる、という食べ方だけは無しとされています。
スコーンを食べる
- スコーンを切る →横に真っ二つに。ナイフでカット、または手で割ります。
スコーンは上側と下側を別々に食べます。重ねないこと。 - クロテッドクリームとジャムをスコーンに、たっぷりと乗せます。
- 最初にクリーム→その上にジャムをデヴォン式、
- 最初にジャム→その上にクリームをコーンウォール式 といいます。好みのほうでOK。
スコーンを食べる際の主役はクロテッドクリーム。
デヴォン式は熱いスコーンに触れて溶けつつあるクリームを、コーンウォール式は触れずに冷たいままのクリームを楽しむ手法です。
両方とも試して、紅茶との相性を確かめてみましょう。
ケーキを食べる
- ケーキにフィルムがついている場合、フォークで巻き取って外します。
- 三角形のケーキは尖っている部分から。丸いケーキは手前側から食べ始めます。
- フォークを縦に刺して、高さ半分ほどの場所まで取って食べます。
- フォークを横にしてケーキを切ろうとすると、一口が大きくなる上に崩れやすいのでやめておきましょう。
- フォークを横にしてケーキを切ろうとすると、一口が大きくなる上に崩れやすいのでやめておきましょう。
アフタヌーンティーで「やらないこと」のまとめ
ナプキンを全部広げる →半分にして輪を手前側に。使う時は裏側
ナプキンをたたんで帰る →テーブルの上に自然に置く
・紅茶
自分でティーポットからカップに注ぐ →スタッフやホストにお任せする
紅茶を混ぜる際に音を立てる →静かに混ぜる
ティーカップを両手で持つ →右手のみで持つ
ティーカップの底を覗き込む →食器に必要以上に触れない。質問する
ジャグからティーポットにお湯を入れる →ティーカップに入れる
・食事
トレーからプレートを外す →フードを自分の皿に取り分ける
トレーからフードを直接食べる →自分の皿に取ってから食べる
サンドウィッチの具材だけを先に食べる →挟んだまま食べる
ジャムやクリームを直接フードにつける →自分の皿に取ってから使う
スコーンを縦に切る →横に切って上下に分ける
半分に割ったスコーンを重ねて食べる →上下それぞれ食べる
…大まかにはこのくらい知っていれば、まったく問題ありません。
終わりに
意外とそれほど難しくはない、と感じて頂けたでしょうか。
日本の茶道は、一つ一つの所作までが完成されたアートの様なものになっていますね。
それに対して英国における茶会のマナーは、あくまでも『参加者に不快感を与えないこと』を目的として、食事の方法に一定の制限を設けた結果でしかありません。
上記に挙げた動作・手順や『やらないこと』についても必要以上に気にしたり、守っていない人を笑う・糾弾するようなことがあっては本末転倒です。
重ねて申し上げますが…
アフタヌーン・ティーの時間を持つ中で一番大切なことは、その場にいる人との会話・その場にある飲みものと食事・おもてなしのために用意された食器や調度品を含めて、アフタヌーン・ティーを楽しむことです。
その気持ちを持って、席を共にする人たちとの時間をどうぞ大切にしてください。
どうか、素晴らしい茶会を過ごすことが出来ますように。

